TdM2025-ご挨拶

 向暑の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
この度、第13回ヒストリックカー ラン フェスタ in 岩手&青森「ツール・ド・みちのく2025」を開催する運びとなりました。

 東北初のクラシックカーラリーとして2007年に始まった当イベントは、一部マニアの趣味的意味合いが強い古い自動車に「車庫へ仕舞っておくだけではなく日の目を浴びていただこう」という主旨でスタートしました。ご年配の方にとっては昔懐かしく、若い世代にとっては見たこともない斬新な乗り物を眺めることのできるイベント。それは年に一度、農耕馬をねぎらうお祭として始まった「チャグチャグ馬コ(※)」という伝統行事と共通する部分があると考えています。

 早いもので初回から18年が経過し、自動車を取り巻く環境も大きく変化してきました。ハイブリット車が標準となり、今や電気自動車にとって代わろうとしています。 ガソリンを大量に消費し排ガスを多く出す古い自動車達は、環境破壊という名の元に年々その姿を消しつつあります。古い車の文化遺産としての価値を認めない日本は、13年以上経過すると逆に税金も上げられ買い換えを促されてしまいます(ヨーロッパでは古い車の税金が免除される国も有るというのに、です)。

 また、東日本大震災やコロナパンデミックなど、当初予測もしなかった災害に見舞われ、当イベントも二度の大きな中断を余儀なくされましたが、これまでSLの様に沿岸被災地へ元気を届けると同時に、我々もまた、沿道の皆様からたくさんの笑顔とご声援をいただきました。

 話は変わりますが、最近、次世代を担う若者の間で密かに昭和ブームが沸き起こっているようです。日頃見ることのない、懐かしくも珍しい名車達が「ツール・ド・みちのく」のコースに、そして身近な風景の中に現れます。非日常を感じていただくと同時に、お孫さんやお子様達とクラシックカーについて語らっていただけたら幸いです。近年は全国各地で有志による同様な趣旨のラリーイベントも数多く開催されるようになりました。

 今回、南は京都から北は青森まで、総勢143名69台の車両にお集まりいただきました。二人一組の参加者は、スタートの時点ではコースの全容を知りません。4コマ漫画に似た“コマ地図”という、主要交差点と距離のみを記したガイドを助手席のナビが読み上げ、指定されたルートで400km先のゴールを目指します。北東北ののどかな道中には37問のクイズ(看板など)が設けられており、また、途中2ヵ所の広場で車を使った簡単な競技の点数を加え、その合計点で順位が競われます。スピードを競うことはなく、一切点数に加算されません。

 見ず知らずの土地で美しい景色や観光名所を巡りながら、ゴールである盛岡市八幡宮へと帰ってきます。優勝者には賞品や特典として様々な地場産品が用意され、観光振興にも貢献しています。400kmという数字は現代の自動車では何でもない距離ですが、古い車にとっては2日間の大冒険となります。沿道の皆様の熱いご声援を、どうぞよろしくお願いいたします。

2025年5月24日 ツール・ド・みちのく実行委員会


ツール・ド・みちのく公式サイト