TdM2016-ご挨拶


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 この度、第7回ヒストリックカーランフェスタ in 岩手 『ツール・ド・みちのく2016』を開催する運びとなりました。秋のラ・フランス温泉館をスタート地点とし、花巻から大船渡、そして遠野から北上展勝地を抜けて再びラ・フランス温泉館に戻る約400kmを、1990年までに生産された国内外の自動車が2日間に渡って走る、東北で唯一のクラシックカーラリーです。

 元々ヨーロッパでは1930年代から70年代にかけて、都市間を結ぶ公道レースが盛んに行なわれていました。ヨーロッパ中の自動車メーカーや有力なレーシングチームがこぞって参加、歴史に名を残す有名なドライバーを多く輩出し、人々を熱狂させました。大戦や事故など様々な理由でレースは廃止されたものの、以前の様な“最新の車の性能を競うレース”としてではなく、当時の車の魅力を後世に残すためのものとして世界中のクラシックカー愛好者の間で復活を果たしています。現在の競技は走るスピードではなく「指定された区間を設定時間に沿っていかに正確に走るか」で行われています。

 日本でもここ30年ほど前より、ヒストリックカー愛好者による公道ラリーが開催され始めました。それは今までの日本では見ることの無かった形のクラシックカーイベントです。長い歴史に培われ大切に保存されてきた名車たちが、単に車庫や博物館のなかで眠り続けるのではなく、私たちが日頃見慣れた景色の中に姿を現します。その感動をここ東北の地にももたらしたいと考え、ツール・ド・みちのくを2007年より開催しております。

 当イベントは、県内外の方に岩手の風景を思う存分楽しんで頂こうと、どなたでも気軽に参加できるようクイズラリー形式をとり、半ば観光ラリー的な内容となっています。400kmといえば、現在の自動車であれば何でもない距離なのですが、今から25年以上も前に生まれた車達にとっては大冒険です。半世紀以上も前に生産された参加車両も多く、やむを得ず途中で止まってしまうかもしれません……。

 年々クラシックカーを取り巻く環境が厳しさを増しています。例えば、古い車は排気ガスも多く税金が上げられてしまいました。確かにハイブリット車に買い換えるのもひとつのエコですが、使い捨てずに直して大切に何十年も乗る、これもひとつのエコロジーです。そんな古い車をがんばって維持し続けるオーナー達の、年に一度のお祭がこの「ツール・ド・みちのく」です。岩手には古来より馬を主役とした伝統行事が数多くあります。同じ様に、日頃車庫に眠らせている事の多い車達を、奉納こそしませんが、宥め、労り、本来の自動車の目的に則って走らせます。

 また沿岸にお住まいの方々にも、古き良き時代の名車達が数年前に復活した「SL銀河」の様に元気に走る姿をお目にかけたいと考えています。中には世界的文化遺産とも呼べる、貴重な車両も参加しております。走る自動車博物館として是非その姿、音、匂いを直に感じ取って頂き、このようなクルマを使った趣味の世界が、欧米同様“文化”として広く社会に認知されていく事を切に願います。
 本日、貴重な車輌で遠路遙々ご参加頂きましたエントラントの方々を始め、この主旨にご賛同頂き会場をご提供頂きましたラ・フランス温泉館さま、大船渡温泉さまをはじめ、御協賛、御協力、御後援頂きました皆さまに厚く御礼申し上げます。

2016年9月10日 ツール・ド・みちのく実行委員会

ツール・ド・みちのく公式サイト