この度、第4回ヒストリックカーランフェスタ in 岩手&秋田 『ツール・ド・みちのく2010』を開催する運びとなりました。1985年までに生産された国内外の自動車が、秋の盛岡手づくり村をスタート地点とし秋田県男鹿半島を経由、日本海沿岸を南下し大仙市、仙北市角館を駆け抜けて手づくり村に戻ります。過去最長の約420kmを2日間に渡って走る、東北で唯一のクラシックカーラリーです。
元々ヨーロッパでは、1930年代から70年代にかけて都市間を結ぶ公道レースが盛んに行なわれていました。ヨーロッパ中の自動車メーカーや有力なレーシング・チームがこぞって参加、歴史に名を残す有名なドライバーを多く輩出し、人々を熱狂させました。大戦や事故など様々な理由でレースは廃止されたものの、現在は世界中のクラシックカー愛好者の間で復活を果たしています。それは以前の様な、最新の車の性能を競うレースとしてではなく、当時の車の魅力を後世に残すためのものとして都市間で行われています。競技はスピードではなく、指定された区間を設定時間に沿っていかに正確に走るかで行われます。
日本でもここ25年程前より、ヒストリックカー愛好者による公道ラリーが開催され始めました。それは今までの日本では見ることの無かった形のクラシックカーイベントです。長い歴史に培われ大切に保存されてきた名車たちが、単に車庫や博物館の中で眠るのではなく、私たちが日頃見慣れた景色に姿を現します。その感動をここ東北の地にももたらしたいと考え、2007年より開催しております。
当イベントはどなたでも気軽に参加できるようクイズラリー形式をとり、県内外の方に東北の素朴な風景を思う存分楽しんでもらおうと、半ば観光ラリー的な内容になっています。420kmと言えば、現在の自動車であれば何でもない距離ですが、今から20年以上も前に生まれた車達にとって、それは大冒険です。今回は戦前に生産され、80年以上経過した車両もあり、やむを得ず途中で止まってしまう車がいるかもしれません。
年々クラシックカーを取り巻く環境が厳しさを増しています。例えば、古い車は排気ガスが多い為に税金が上げられ、極め付けは13年以上経った車を買い換える助成金制度です。確かにハイブリット車に買い換えるのもひとつのエコですが、使い捨てずに直して大切に何十年も直して乗る、これもひとつのエコロジーです。そんな古い車をがんばって維持し続けるオーナー達の、年に一度のお祭が、この「ツール・ド・みちのく」です。岩手には馬を主役とした伝統行事が多くあるのと同じ様に、日頃車庫に眠らせている事の多い車達を、奉納こそしませんが、宥め、労り、本来の自動車の目的に則って走らせます。
また、沿道にお住まいの方々にも、古き良き時代の名車達が元気に走る姿をお目にかけたいと考えています。中には世界的文化遺産と言えるような貴重な車両も走ります。走る自動車博物館として是非その姿、音、匂いを直に感じ取って頂き、このようなクルマを使った趣味の世界を、欧米同様“文化”として広く社会に認知されるようにしていきたいという考えです。
本日、貴重な車輌で遠路遙々ご参加頂きましたエントラントの方々を始め、この主旨にご賛同頂き会場をご提供頂きました盛岡手づくり村様、御協賛、御協力、御後援頂きました皆様に厚く御礼申し上げます。
2010年9月11日 ツール・ド・みちのく実行委員会